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反面教師

2020年10月2日

2020年10月2日

こんにちわ。朝晩はめっきり涼しくなり、朝夕のメリーの散歩がとても快適になってきました。

今回、獣医師の立場としてはお伝えしにくい事なのですが、自分に’喝’を入れるつつ皆様に注意喚起をさせていただこうと思います。

ちょうど1週間前の金曜日のことです。その日は朝からしっかりと雨が降っていたため、メリーの散歩をお休みしたんです。朝の運動が無かったので退屈しのぎにと、午前中に噛んで遊ぶおもちゃを与えて私は病院の仕事をしていました。その日は午前中、バタバタとしていたので、メリーをかまってあげる時間がありませんでした。

当院の診察受付が終了した14:30頃に、メリーの近くに行ってみると糸くずのようなものがパアパラと床に落ちていました。「何だろう?」とは思いましたが、メリーも優雅に伏せの姿勢でいましたし、病院を閉める準備をしようとしていました。

すると、朝に与えたオモチャのことをふっと思い出し、おもちゃを探したのですがどこにもありませんでした。

そのおもちゃは、革製のロープを球状に編んだもので、りんごくらいの大きさでしたので、丸呑みをすることは不可能なものです。

ただし、メリーはゴム製のものであろうとロープ状のものであろうと、前歯(切歯)を上手に使って引きちぎって粉々にすることができる子で、ちょうど前日にも太いロープで両端を結んだおもちゃをモップのようにボサボサにほつれさせていたのを見たので、この革のボールもほどいてしまったんだと思いつきました。

焦りました!

メリーが居た場所を3回見て回りましたが、物はありません。

「食べたね…」と聞いても、メリーは尻尾を振ってこちらを見ているだけで答えは返ってくるはずもなく…。

すぐさまエコー検査をしました。胃の中を見てみると、朝に食べたフードに紛れて’何か’が写っていました。’何’の正体はエコー検査だけではわかりませんが、異物であることは強く疑えました。幸い、小腸には異物は写っていなかったので、まだ胃内にとどまってくれている状態でした。

「さぁ、どうする?」と考え、このまま便に出てくるのを待つか、吐かせるかの2択が浮かびました。おもちゃの大きさから、引きちぎって小さくなったものを飲み込んだとしても、量がかなりあるので詰まる(消化管閉塞)可能性は大きいと思いました。

「胃の中にあるうちに吐かせよう!」と決め、血管に留置針を入れて吐かせるお薬を注射しました。ここまでの処置に10分はかかりませんでした。

メリーのテンションがみるみる下がってきて、ウッウッと気持ち悪そうになるまで数分で、ゲボッと嘔吐しました。

吐いたものをかき分け探しましたが、革製のものが何も無かったのです。別のおもちゃの残骸が見つかり「これじゃなーい!!」と思っていると、2回目、3回目と立て続けに嘔吐して、その嘔吐物の中に革のおもちゃが出てきました。

長い物では4〜5cmくらいあり、糸状になったものまで集めるとかなりの量がありました。そのまま腸に流れていたら腸閉塞は確実だったなぁと、処置が間に合ったことにホッとしました。

写真は、吐いた物の中にあった異物です(洗って異物だけをのせています)。

ペットシーツはレギュラーサイズなので、異物の量と大きさをご想像できるでしょうか。

ちなみに、写真左側の黒っぽい物体は別のおもちゃです(これはいつも便に混じって出てきている物です)。

夜間病院で働いていた時は、異物(の疑いを含めて)が主訴で来院される子が多くて、催吐処置(嘔吐させる処置)は日常茶飯事に行っていました。処置の後には必ず飼い主さんに、「この子は異物を食べる子ですので、人間が管理をしないといけませんよ。最悪の場合は、開腹手術をしなくてはいけなくなったり、死亡もしてしまうケースもありますよ。」とお話しするのですが、今回は同じように自分で自分を戒めました。

 

皆様も、このようなことが無いようにお気をつけください。

 

 

 
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